Dangerous city
安全を確認した上で、俺は部屋から廊下に出る。

…ホテルの廊下は気味が悪いほど静まり返っていた。

だが、耳を澄ませると聞こえてくる。

ホテルの外からなのか、それとも別の階からなのか。

あの不明瞭な、呻き声ともうわ言ともつかない声。

やはり錯乱者はあの従業員一人だけではなかったらしい。

ハルカを連れ、俺は慎重に歩を進めた。

…進みながら考える。

麻薬中毒者だとしても妙だ。

一斉に多数の麻薬中毒者が出るというのは考えにくい。

更生施設からの脱走者?

しかしそういう施設がこの街にあるという話は聞いていないし、施設からの脱走があったという話も耳にしていない。

総合すると、あの錯乱者が麻薬中毒者であるという線は薄かった。

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