世界で1番愛してる


「シズ、確かあなた…」

「今はお姉ちゃんしかいないよ。お兄ちゃんは私が中学の時に病気で死んでるから…。」


私がお兄ちゃんを最期に見たのは14才の時、4年前。

苦しんで、苦しんで…

最期まで苦しんで死んだ。



「シズ…」

「わかってるよ…骨肉腫ってすごく怖い病気だけど希望はあるもん。

涼太は……死んだりしない。」


そうだよ。

涼太は死なない。絶対に。


これから先、一番辛いのは涼太自身なんだ。

だから…私やママが弱気になるのは絶対に駄目。



「っ、そうね…涼太は強い子だから…それにシズを置いていくような事はしないでしょうね。」

「うん。置いて行ったら私が涼太を殺してやるから!」


よかった、ママもまだ笑える。

私も…まだ笑える。



「でもね、シズ。お兄さんの事…大丈夫?同じなのよ?」

「……うん…。でもね、私お兄ちゃんの事があってわかった事もあるんだ。

いろんな事をお兄ちゃんが命を掛けて教えてくれたから。」


大好きだった。
だから余計に辛かった。

もしも…もしも、涼太がお兄ちゃんと同じ末路をたどったら私は生きていけないかもしれない。


それでも…。





――…私は逃げないよ。


涼太と一緒にいるんだから。

涼太は生きてるから。


涼太は絶対に…死なない。





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