Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
「彼女の部屋のガラス窓が、内側から割られた跡がありました。
 破片には奇妙な赤い液体が付着していて、それが、人間の血液ではない事が判明されました」

「……新たな怪我人が出なくて良かったですね。
 それが、僕と何の関係があるんですか?」

 わざと、木で鼻をくくるような答えを言うと、大槻は、一瞬睨んだ。

 しかし、すぐに元の穏やかな顔に戻る。

「もちろん、関係も無いでしょうね。部屋には争った跡もありません」

 穣は、微笑みながら言った。

「ただ念のために鈴木さん……あなたの血液検査のデータを見る許可をください。
いえ、わざわざ採血してもらわなくても結構です。
今回の怪我で、検査した時ので結構ですから」

「嫌です」

 僕も笑って、即答した。

「検査データは、個人のプライバシーに深く関わるものです。
 警察から正式な要請が無い限り、拒否します」

「駄目ですか?
 仕方ないですね。
……あなたが人である、という証明がほしかったのですが」
 
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