Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
Ⅱ章

魔鏡

「…子……皇子……起きてください! お時間ですよ!」

 う……くっ……

 頭が、がんがんする。

 本来なら、鈴を振るような、と言ってもおかしくない美声だった。

 が。

 今の僕には道路工事の音を聞いているのと、あまり変わらない声が、呼んでいる。

「皇子!」

「……たのむ。もう少し、静かに……」

「まあ、まあ……どうしたのですか? お加減が悪いのですか……?」

「……いや…」

 僕には経験ないけれど、どうやら人間で言うところの二日酔いみたいだ。

 昨夜、追加で飲んだ血に悪酔いしたらしい。
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