Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 と。

 程なく。

 これまた、仰々しい、いかにも悪趣味な両開きの扉が現れた。

 散々レリーフの施された扉は、三メートルはありそうだった。

 なのに。

 残月が前に立っても、開かない。

 自動ドアではないようだ。

 残月は、扉の脇によけている僕達に目で合図を送ると、扉の片方をゆっくりと押し始めた。





 そのとたん!



 扉の隙間から、どろどろとした緑色のものが流れて来た。

 様々な薬品と、生臭い、何か生き物の臭いが混ざった粘液に、残月が、跳び下がる。




 びちゃっ ぶじゅ ずずずず………



 耳をすませば。

 真っ暗な隣の部屋から、濡れた雑巾が這いずり回るような音が聞こえて来た。



 ……こっちに来る!




 
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