ふたまた彼氏

気持ち

ぽんぽんと
頭をたたかれる。

さっきみたいな
嬉しい感覚が
今は本当に
慰められているみたいで
心がぐっと苦しさを増した。

「ねぇ美紅。
諦めちゃうの?」

「諦めるもなにも
相手が・・・っっ!!」

「奪っちゃえばいーじゃん
本当に美紅が好きなら。」


やけに真剣な紗枝の顔。

ぎゅっと唇を噛むと
涙が止まる。

「あたしは
美紅が恋してるとこ
すっごい好きだよ?

あかるくて
楽しそうで
昔みたいじゃない・・・っ!」

きゅっとまた
強く唇を噛み締める。

「ごめっっ・・・・。」

「いーの。
気にしないで。」


そう、
事件は高校一年に
あがったばかりの
まだ初々しかった
あの頃に起こった・・・・



あの時あたしには
すごい憧れてる先輩がいて
カッコよくて
何でもできる
本当に好きな
大好きな人だった。


思いを寄せて
幾つか経ったとき
あたしは告白した。

先輩は
「僕もだよ。」
と微笑んでくれた。

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