青蝶夢 *Ⅱ*
叶わない想いに、心はズタズタ
に引き裂かれた。

今のお前の想いを、俺が
一番に分かってやれる。

戸惑う芳野を見つめて
伊吹の心は張り裂けそうだ。

伊吹は、芳野から視線を逸らし
珈琲カップを見つめる。

「何てな
 できないだろう
 
 もう、帰れよ」

伊吹は、驚いて言葉が出ない。

何故なら、芳野はネクタイを
緩め、着ていた黒いジャケット
を脱ぎ捨て、シャツの袖口の
カウスボタンを外す。

「ヨシノ、お前
 
 何してる?」

シャツのボタンを一つずつ
外していく芳野は
悪びれる事なく言う。

「何って、ヤるんだろう?
 
 だったら、お前も脱げよ
 
 早いとこ済まそうぜ」

「・・・・・・」
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