青蝶夢 *Ⅱ*
私の頬を、あの日と同じように
涙が流れた。

私は、最低限の条件を伊吹に
伝え、それを守ってもらえる
ならと、娘を諦めた。

私は娘に、週に一度は会う事が
でき、月に一度は、私と芳野の
家で娘を預かるということ・・

彼女の全ての学校行事に
参加できるということ・・・

伊吹は、涙を流して私の
要求の全てを了承してくれた。

「ヒイロ・・・ありがとう」

それから、四ヶ月半が過ぎ

私は、やっと、芳野と
結婚する事ができた。

「フルヤさん
 フルヤヒイロさん
 中待合室へどうぞ」

ここは、産婦人科病院・・・

芳野と暮らす家から、近い場所
にある産婦人科で私は定期的に
検診を行っていた。
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