青蝶夢 *Ⅱ*
今度は、伊吹が芳野の頬に
手を翳して、唇に口づけた。

信じられない伊吹の行動に
驚いて、瞳を開けたままの
芳野。

伊吹の頬に

一粒の涙が流れた。

「また、俺に
 
 愛をくれるのか?」

『俺の愛は、お前のもの』

その涙に

芳野は指先で触れた。

「イブキ
 
 俺の愛は
 
 お前には、やれない」

「ああ、もう、知ってる
 
 俺の愛も
 
 お前には、やれない」

静寂が、二人を包む・・・
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