青蝶夢 *Ⅱ*
あの後、眠れなかった私は
ベッドの上に膝を抱えて座り
割れた窓ガラスの外を
ずっと見つめて、朝を待った。

朝は、来る・・・

「ヒイロ・・・」

ベッドの上で猫のように小さく
丸くなって眠る、私の姿を見た
母は、私の頭を優しく何度も
何度も撫でてくれた。

「ごめんね」

私はただ、眠り続けていた。

母は、ある人に電話をした。

「お願いします
 今すぐ、迎えに来て
 あげてください
 
 あなたしか
 ヒイロは救えない」

私は、夢の中

ドアを出て行く、芳野の
後姿に手を伸ばして願った。

『ヨシノ、お願い

 行かないで』

ドアは閉まり

貴方の姿を隠す。
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