【完】トリプルスレット
「ナイスファイ」


ノノがバスタオルとスクイズボトルを持って駆け寄り、私をベンチの端に座らせた。

私は頭からバスタオルを被り俯いた。

辛くて、辛くて・・・試合を見ることができなかったから。


目からの情報をシャットダウンしても、耳からの情報は自然と入り込んでくる。

耳を塞いでも、コートの中を走る選手達の振動が伝わって・・・。


耐えられなかった。


私は立ち上がり、ベンチの後ろにある体育館廊下へと続く扉をギイっと開けた。


「心空!」


それを止めたのは、内野コーチの声と内野コーチの手。

私は内野コーチに手首を捕まれていた。


「すいません、具合が悪いのでっ」


私は慌ててその手を振りほどくと、体育館廊下へと飛び出した。


「おい!どうしたんだよ!」


私の後を内野コーチが追ってきた。


内野コーチが私の肩を掴んで、グイっと体を振り向かせた。


「やだっ!!」


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