黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
「月ちゃん、久しぶり。
僕のこと覚えてくれてるかな?」
酒を飲んでる私の前に影ができ、
優しくて、私の小さい頃から大好きな心地のいいテノールボイスが耳に届いた。
覚えてくれてるか、なんて、覚えてるに決まってんじゃん。
「真咲さんっ!
久しぶりーっ!!」
「覚えてくれててよかった。
忘れられてたらどうしようかと思ったよ」
「忘れるわけないじゃん!
真咲さん大好きっ子だった私が」
「あはは、そうだね。
三年間、月ちゃんがどうしてたか理人から聞いてたよ。
No.1の総長で歴代最強だって?
凄いじゃない」
「ありがとう。
でも、そんなに強くないよ。
真咲さんにまだ勝ててないもん」
家出する前、真咲さんといつもタイマンはってたけど、全戦全敗。
未だ真咲さんに勝ったことはない。
いつか絶対勝つんだから!
……と、意気込んでたのを覚えてる。