黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
優鬼。
それが、私の青龍の幹部としての通り名か。
今現在で、いくつ私の通り名があるんだろ。
「意味はそのまんま。
優しい鬼、なんだって」
「優しい……?」
「つっくん優しいじゃん?
僕たちにだって、女の子たちにだって。
〝優鬼〟ってつっくんにピッタリだと思うな」
…―――優しくなんかないよ、私は。
その逆で、酷い奴なんだよ。
平気で人を騙す。
そんな奴が優しいわけがない。
「最後に言っておくけど、1日中暴れるのはやめてね。
溜まり場にもきてほしいから、暴れるのはほどほどに」
「………わかった」
「なら、いいよ。
あっ、そうそう!
このお菓子、新発売のなんだけどね…―――――――」
暴れるのをほどほどにするという約束を交わして、
それからは他愛もない話で盛り上がった。
いつしか、こんな青龍の空気が好きになっていて。
黒蝶と青龍を掛け持ちするのが当たり前になっていた私。
いずれは別れが来るのも分かってはいるけれど。
でも。
今は、出来るだけ長く、青龍のみんなとこうして過ごしていたいと願う。
平和な日々が、徐々に崩れ始めてるなんて知らずに…―――――