バトルロワイヤル

なんで…?

―一昨年―
「お母さん?そんなに注射ばっかり痛くないの?」
「痛くないわよ。それより気持ちぃのよ。」林道師連(オレ)の母は麻薬中毒者だ。
でも小6のオレには麻薬のことがわからない。
麻薬の経路はおそらく父の仕事柄からだろう。
オレはアメリカのロサンゼルスの中国人学校(英語がしゃべれない中国人のための学校。児玉は英語が話せるため普通の小学校)に通っていた。
「いってきまぁす!」
オレは扉をあけてスクールバスに乗った。
「よッス!師連!」バスで話し掛けてきたのは李伯外(イー・ハクガイ)だ。いわゆる親友ってやつだ。
「おぅ。李じゃねぇか!」
「最近“まやく”ってのが流行ってるらしいよ!」
オレは李の横に座った。
「まやくぅ?」オレは李に聞き返した。
「うん。体に入れるとふわっとして気持ちいいんだって!でも、何回も使うと禁断症状っていうのが出るらしいんだ…。幻覚とか震えとか…。」
「そうなんだ。」
(ブロロロ…)
無事学校に着いて窓から空を見上げる。
(…お母さんが使っているのは麻薬なんだろうか…?)オレは授業中ずっと不安になった。
(今日は早く帰ろう…。)学校が終わると最初のバスで家に帰った。
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