精神の崩壊
異常死体発見
 ニュースによると、その死体は、朝、公園をランニング中の 男性が見付けて警察に通報をしたとの事だった。
 
 通報を受けた警察が駆け付けて来て、その現場の光景を見た瞬間、全員が凍り付いて暫く動けなかったと言う。
 
 男の死体は、手足や、頭、胴体等がばらばらに切り放されていて、切り放された部分どうしを、紐で繋ぎ合わせてあり、しかも、それらに無数の紐が通されていて、木の枝から操り人形の様に吊されていたと言う。
 
 そして、その木には
 
 『題名:壊れたマリオネット』
 
 と、書かれた紙が張り付けられており、その下には、芸術までの工程と書かれたDVDが置かれていたそうだ。
 
 警察の捜査の結果、被害者の男は、加藤健二と言う画家だと言う事が解ったそうだ。
 
 『加藤健二』
 
 待てよ、加藤健二と言えば…
 
 昨日、正春のサイン会で、正春の画集を破り捨て、正春に暴言を吐き捨てて、逃げて行った男だ。
 
 しかも、壊れたマリオネットと言えば、正春が出した画集に載せてある絵と同じ題名だ。
 
 これは一体どう言う事なのだろうか。
 
 良子は、ぞっとするものを感じていた。
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