デュラハン
 良平達の囲む炎からモクモクと立ち上り月明かりに照らされて薄灰色の帯を広げる夜空を静かに見詰める者がいた。

 〈見付けたぞ、獲物だ〉
 〈ハハハハハハハハハッ〉

 笑いながらアルテミスは獲物を目指して森へと馬を走らせる。 
 煙りの立ち上る場所まではそう遠くない。

 アルテミスはニヤリとほくそ笑みながらみるみるその場に近付いて行く。

 その頃、自らの身に危険が迫っているとも知らない良平と美由紀は兎が焼き上がるのを今か今かと待ち望んでいた。

 「早く焼けないかなーーっ」
 「もうお腹ペコペコッ」

 そんな話しをしている中に間もなくして兎が焼き上がり、良平達はそれを美味しそうにほうばっていた。
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