愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「入ってもよろしいでしょうか?」


扉の向こうから低い男の人の声が聞こえてくる。

その声に小さく胸が鳴り、蘇る。

あの人だ。

香椎くんのことを任せた、あの長髪の男の人の声だ。


鼓動を落ちつかせるように小さく深呼吸する。


頭の中は香椎くんの安否でいっぱいになる。

それを確かめるためにはその人物と話をしなければならない。

なるべく冷静に。
そういつもの私になって。

お嬢様という仮面でもなんでも被って。


「どうぞお入りください」


クローゼットの中から適当に羽織るものをとり、私はベッドの端に行儀よく座った。

ゆっくりと扉が開き、白い服がちらりとのぞく。


「お目覚めの頃だと思い、伺いました」


そう言うと深く一礼し、その人物は部屋の中に入って静かに扉を閉めた。


「どうぞ、そちらに」


部屋の奥のソファーへとその人を誘導する。

すると彼はまた深く一礼すると、流れるような優雅な物腰でそこに腰を下ろすと「ご安心を」と告げた。


「彼は無事ですから」


その一言で緊張でガチガチに固まっていた心の紐がシュルリと音を立てて解けた。
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