愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
ゆっくりと振り返る。
やや、なんと神々しい光を纏っておいでなのだと……
振り返った先の人物を視界に捉えた瞬間に、眩暈で倒れそうな感覚に陥った。
自分と同じ、真っ白な詰襟の制服に身を包み、真っ黒な縁の眼鏡を凛々しくおかけになった彼は私に、なんとも不審げな視線を投げかけていた。
「おはようございます。
九条岳尚(くじょうたけなお)様」
にーっこり。
極上の笑みで彼と向き合う。
けれど……なぜか彼の視線は私ではなくて、と・な・り。
そう、香椎くんへと注がれていた。
「……あの……岳尚様?」
私の問いかけにハッとしたように、岳尚様はこちらを向いた。
「すみません。
ボクが呼びとめたのに……」
そう言って礼儀正しくお辞儀しながら詫びを述べる岳尚様。
同じ『タケ』でもぜーんぜん違うのよね……と香椎くんを見遣ると。
香椎くんはニコリともせず、私の隣に寄り添うようにしながら岳尚様を見つめていた。
って……いや、これメンチきるっていうか、睨んでませんかね?