聖霊の宴
ガサガサ。
完全な闇の中、見えはしないが確かに目の前で草木が揺れた。
「グルルルルル……キシャーーーッ……ガァーーーッ……」
複数の鋭く光る瞳に見入られシルクの足が止まる。
「いったい何匹いるんだ……!?それにこの闇、野性の猛獣と戦うには分が悪過ぎる。」
じりじりと後退しながら、シルクは構える。
「キシャーーーッ……グルルルルル……ガァーーーッ……」
それに応えるかの様にじりじりと近づく瞳。
次の瞬間。
鋭い爪がシルクの眼前にまで伸びる。
「……くっ。」
素早く身を翻し、爪はシルクに擦ることもなく頭上を通り過ぎていった。
しかし態勢の悪いところに追撃が待っていた。
「キシャーーーッ!!!!!」
喉元目がけられ、牙が迫りくる。
「つっ……なんのこれくらい。」
シルクは右腕を迫りくる下顎に滑り込ませ、無理矢理に口を閉じて、突進してきた力を利用して後方へと投げ飛ばす。
ドゴッ。と鈍い音が聞こえた時にはもう、三匹目の猛獣の爪が脇腹を捕えていたのだった。
「…………しまった!!」