聖霊の宴

水を司る者



「ふぅ、暑いな。」

シルクはひたすらに山々を越えていた。

シルク達の住む灰炎は、大陸中央に位置する炎王の城から最も離れた場所に位置する辺境の地である。

道路の整備もされず、水も電気もガスも通ってはいない。

「……おや?これは鮮橙花か、もう真夏なんだな。」

その名の通りに鮮やかな橙色の花を咲かす植物。

茎がヒトの腕ほど太く、独特な曲線を描きながら育っていく。

頭には不細工な蕾を付けるが、一度花が咲いた時の美しさたるや、他に例を見ない。

「ふぅ。」

シルクは鮮橙花を眺めながら、サモンに持たされた水筒の水を飲んだ。

びっしょりと流れた汗。

失った水分が、新たに身体を駆け巡る心地よさ。


サマー・ガーデンは年中猛暑と高い湿度に覆われる熱帯気候の大陸である。

高い時には摂氏42度を超す猛暑に襲われ、どんな日照りの日であってもスコールに見舞われることも珍しくはない。

「さて行くか。ってか、どこかで水を手に入れないとまずいな……水筒の水が尽きそうだ。」


シルクは再び歩きだし、耳をすましていた。



< 27 / 406 >

この作品をシェア

pagetop