聖霊の宴

フィニによって召喚されたアスタロトはドラゴンに跨り、毒蛇を右腕に握り締めた奇妙な男性の形をしている。

その名を聞き、姿を確認したワイズはすぐさま口を塞いだ。

「やっかいだね……"西方を支配する者"アスタロトか。」

「流石はワイズ王だ、博識ね。行くわよ『毒の霧箱』」

アスタロトの口から吐き出される紫色の吐息。

それが漂いながら地面に触れると、大理石が一瞬にして腐り溶けだした。

「人の城になんてことをするんだ、シルフィード『頂の御風』」

高山の頂上を抜けるが如き清く爽やかな風が吹き、アスタロトの吐き出した毒を掻き消した。

「やはり、この程度の魔法は効きませんわね。ならば、これはどうかしら?アスタロト『竜尾の鉤爪』」

翡翠の様にきらめく鋭い鉤爪がフィニの左腕に装着された。

そして、フィニが飛び出す。





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