【短編】クリス王子とセシル姫
「クリスは子供だからなぁ。
満足できないんじゃない?」

アーサーが冗談混じりにそう言った。
軽く出たそんな言葉に、クリスの胸はズキンと痛みを覚えた。

「あなたは大人なわけ?」

セシルが問いかける。

アーサーはちょっと目を丸くした。

「どうだろう」

「どうかしらね」

「―――試してみる?」

「あら」

セシルがちょっと笑った。「じゃ、別に部屋用意してもらわないと」


「―――勝手にしろよ!!!」


とっさにクリスは怒鳴った。

その声に、アーサーもセシルも呆気にとられたように固まった。


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