半熟cherry

「待ってて」



そう言って郁はチケット売場に歩いていった。



郁とすれ違う女の子が振り返る。

…あ、こっちの子もだ。



…彼氏と一緒にいるのに。

他の男見ちゃダメでしよ〜…。



「何見てんの?」

『え゙?!』



不意に声をかけられてビックリ。



『や、何も見てない…』

「…ふぅ〜ん」



そう言いながらも目が泳いでしまう。



べ、別にやましいコトなんてしてないのに!!

何でキョドってんだ?!、私。



「…まぁ、いいや」



フッと笑った郁が私に向かって手を差し出した。



 

< 129 / 283 >

この作品をシェア

pagetop