半熟cherry

「うわッ、ガッツリ見えんじゃん」

『こんなに見えたんだぁ…』



ベランダに出てみると。

ちょっと遠目ではあるけど。

夜空に色さまざまな花を咲かせる花火がキレーに見えた。





『…ビール、持ってこよっかな?』

花火見ながらビールなんて最高じゃない?



なんてちょっと思いながら。

もう一度部屋に入ろうとすると。



「俺、持ってくる」



郁が腕を掴んで私をベランダに引き戻し。

代わりに自分が部屋に入っていった。



『…あ、りがと…』



郁の背中にお礼を言った。

でも、ガラスの窓に阻まれて多分届いてない。





…郁が掴んだ腕。

…掴まれた腕が、熱い……。



こんなコトを意識してしまうなんて。

私は重症かもしれない。



 

< 234 / 283 >

この作品をシェア

pagetop