半熟cherry
『…なに、言ってるの…?』
逢沢クンが何を言っているのか。
はっきりしたモノが見えてこない。
ドクン、ドクンと。
心臓の音が大きくなっていく。
たぶん。
いや、絶対。
逢沢クンが机の上に置いたモノを見れば。
全てがわかる…。
「……あぁ」
私が“何か”に手をのばしかけたトキ。
なにかに気が付いたように。
逢沢クンが首を傾げた。
「…あの日はまだ金髪だったし。コレ、してなかったっけ」
そう言うと。
細いシルバーの縁をしたメガネを外した。
『……え……』
その時。
…ヒラッ。
机の上から何かが落ちた。
『……!!!!!』
……ウソ……。
なんで……。
机から落ちたモノは。
逢沢クンがポケットから出したモノ。
白いメモ用紙。
そこには。
“ごめんなさい”と。
間違いなく私の字で書かれていた。
…それは数ヶ月前。
ホテルを出る時に残した。
あの日のメモだった…。