恋愛小説
何を話すべきか考えている間に、義美君が隣に座って私を見ていたみたいで
イキナリ至近距離で目が合った。ちかっ!やっぱりチャラっ!


「これ、大切なものなんでしょう?返すよ。」早く離れたくて、
義美君にグイッと手を差し出すと、「要らない。着けてて」と言う。


…?


顔を上げて、顔を見ると、義美君の耳には、片方しかピアスがついていない。
「お揃いにしたいって思ったら、迷惑?ピアス1個分だけでも、俺と一緒は嫌?」


義美君の目が、潤んでいたのを見て、心臓が凍りそうになった。


「私の事、好きって本当?」思わず、訳の分からない事を口走ると、
「え?いつも会う度に、俺はそう言ってるよね?」不思議そうに聞いてくる。


だめだ、伝わってない。「酔っぱらいに言われても真に受けないよね?」
「えっ!?それ、昨日言われたから、今日は飲む前に言ったよね?
で、断られたから、せめて沙恵ちゃんのことをずっと感じられる何かが
欲しいなぁって思って、ピアス欲しくなって。でも泣かせちゃって…。
だから、会うのが怖くて、兄貴に頼んだんだけど…あれ?」

確かに、今日は飲まずに言ってたし、昨日言われた時に、そう答えたかも。

「えと…本気?」
「本気でないなら、何?」

完全に開き直った義美君は、いつもの意地悪な顔で、さらに顔を近付けてくる。


顔を遠ざけながら、もう一度聞く。「だって…ぇ?私のことが…?」
「うん、俺は沙恵ちゃんが好きだ!」ニヤリと笑う顔は、いつも通りなのに…
うそだぁああ~!あの意地悪の塊、悪魔の化身がっ!?
さらに至近距離になった義美君が、囁く。

「目を見て?」


吸い込まれそうに綺麗な目が私の顔の半分を映しているのが見える。
「もし断られたら、諦めるって決めてたけど、でも本気だって伝えたいから、
もう1回言うね?付き合って下さい。」


「はい。」
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