俺様先生と秘密の授業【完全版】
 それは、あたしや岸君が抱えたイジメの問題だったり。

 何よりも。

 家庭(いえ)の事情や、学校の授業について行けずに。

 非行に走って、族やその他、社会の闇の部分に接続するかどうかを見守れる、要(かなめ)の場所だから、だ。

 ……と、直斗は、言う。

「……だから、直斗には、全く似合わない、学校の先生なんてやってんだ?
 ガキ共が、道に迷って、チームの一員にならないように?
 要らない事故を食らって、命を落とさないように……?」

「似合わない、は、ひでぇな。
 これでも、結構真剣(マジ)で教師やってるのに。
 あのまま、狼に残ってれば、きっと俺の就職先は、俊介専用車の運転手で。
 給料も今の倍は、貰える予定だったんだけどな」

 兄貴の言葉に、直斗は、小さく笑った。

「あんな体験をしたら。
 自分に何が出来るのかは、判らなくても。
 少しでも、出来ることを必死に考えるしかねぇじゃないか」

 その言葉に、兄貴はようやく、直斗を押さえつけていた手を緩めた。

「今日も、天竜組から逃げるのに、速度は出せないほど、技術(テク)が必要なあの道を通ったって?
 それは、例え事故っても、誰も傷つけないようにか?」

「まあな」

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