俺様先生と秘密の授業【完全版】
 あたしは、出て来た涙を振り払うと。

 拳(こぶし)を固めて、保健室を出た。

 あたし、別にケンカが出来るわけじゃない。

 吉住さんが言ったように。

 非力なあたしが、無計画で出て行っても、自己満足でしかないかもしれない。

 それでも。

 あたしが、本物の水野小路の妹だと、名乗り出ようと思った。

 もう、これ以上、傷つくヒトを増やしたくなかった。

 いかに、お休みの日だから、とは言え。

 こんなに大勢の前で言ったら、もうおしまい、だった。

 この騒ぎの一端を追求されて、きっと学校から、辞めろ、って言われる。

 そうじゃなかったとしても、クラスのみんなに怖がられ。

 教室での居場所なんて、無くなるだろう。


 ……保健室だけじゃ、学校生活は、送れない……


「学校を辞めたら。
 直斗とも、岸君とも、さよならかもしれないね……」


 思わず、口をついた独り言が、現実に起こりそうで、悲しかった。


 けれども、行くんだ。


 ここで隠れたら、あたしは、絶対、後悔する。


 これからも、自分らしく、真っ直ぐに生きるために。

 例え、怖くても、悲しくても。

 あたしは、行く。

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