俺様先生と秘密の授業【完全版】
 身の危険を感じて、一歩下がると。

 とん、と誰かの胸に、あたしの肩が当たった。

 いじめグループの一人が、もう。

 回り込んで、後ろにいたんだ。

「や……だ」

 怖い。

 思わずつぶやくと、リーダーはにやにや笑いをひどくした。

「彼氏を守るために、おもちゃになってくれるなんて、なぁ。
 岸には、もったいない嫁だよな」

 そこ!

 あたし、岸君の彼女や嫁じゃないし。

 おもちゃになった覚えなんか、もっとないしっ!

 ……なんて言っている場合じゃなかった。

 こ、これ以上近づいたら、兄貴に言うから!

 半分パニクった頭で、そう叫びかけ……

 ……たとえ兄貴が、どんなに早くても。

 やって来た時には、もう。

 ぜんぶ終わっちゃった後かもしれないことに、青ざめる。

 絶対絶命だった。

 あたしと、岸君には、今、すぐ。

 強力な助っ人が必要だった。

 騒ぎを、見て見ぬふりしているクラスメートは、あてにならなかった。

 あとは、保健室の早瀬倉先生なら……

 ……無理か。

 助けるつもりには、なってくれても、弱いから。

 高校生男子、六人がかりなんて、楽勝で負ける。

 そう、思ったときだった。
 
 助け船は、思いもよらぬところから、来た。


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