俺様先生と秘密の授業【完全版】
 その、微妙な顔つきのまま、岸君は言った。

「でも、見てすぐ『オレ』がわかった、ってことは。
 ……ウワサ、とか、聞いてない?」

 何を言っているんだろう?

 岸君の言葉に、不良グループは心なしか、一歩下がったような気がした。

「ま……まさか……」

「うん。
 貰った時は、莫迦莫迦しいと思ったし。
 一枚使ったら、残りは、そのまま返そうと思ってたんだけどね。
 ……状況、変わったから」

 言って、岸君はポケットから、名刺みたいなカードを出した。

「天竜組の現総長。
 東屋 誠(ひがしや まこと)から、オレ、岸 疾風(きし はやて)が。
 東屋から貰った『切り札』を使って、君たち天竜組の四人を正式に、借り受ける。
 よって『指示』が終わるまで、君たち一時的に、オレの『配下』。ね?」

「……てめ!」

 見るからに、嫌そう、っていうか。

 今にも、殴り掛るのをなんとか抑えているらしい。

 天竜組のリーダー格の胸ポケットに。

 出したカードを押し込むと、岸君は、ほほ笑んだ。

「オレに使われるなんて、ものすごく嫌そうなのは、見れば、判るけど。
 君たちが、天竜組である限り、拒否権は、認められない。
 だって、切り札を切った今。
 オレの言葉は、君たちの総長の言葉だから。
 文句があったら、東屋に直接、言って?」
 
 


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