◆兄貴の彼女◆
【9章】様々な告白



翌日の朝。

あまり、眠れないまま朝を迎えた。


リビングで、隼人の顔を見ながらパンをかじる。

隼人の言葉が頭から離れない。

兄貴が生きてたら。

兄貴が生きてたらこんな事にはならなかった。

いや……これが運命ならば、俺はそれでも藤沢と出会って好きになっていた?



――ピンポーン。

そんな事を考えていたら、うちのインターホンが鳴った。


隼人は立ち上がり、玄関へ向かう。

しばらくして、知ったような声が聞こえる。

美佳……か?


――ガチャ。


「夕斗、おはよー!」

やけにテンションの高い美佳を見て俺は不思議に思った。


「おう」


「今日は、私ひとりじゃないよ?ね、藤沢さん」


「……藤沢?!」


美佳の後ろからヒョコっと姿を見せたのは、少し戸惑い気味の藤沢だった。


「なんで藤沢が……美佳と」


「あー、夕斗驚いてる!」


「いや、驚いてるーじゃねーだろ……何でお前ら」


「さっき、公園の近くで会ったから、私から誘ったの!ね?藤沢さん?」


「うん……美佳さんが一緒に行こうって言ってくれたから」


美佳のテンション。

美佳が藤沢を?

あんなに俺との関係を嫉妬してたのに?

なんだ?

何をたくらんでいるんだ?


「美佳、ちょっと来い」


俺は美佳の腕を掴み、事情を聴くためにリビングを出ようとした。


――バッ。

けど、美佳は俺の腕を振りほどく。


「美……佳?」


「私、夕斗が好き」


「は、はぁ?何急に言ってんだよ!」


ついつい藤沢の顔を窺う。

藤沢は少しこの状況に驚いている。







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