reverse【完】
「…何を…言ってる?」


「ですから…。これっきりではなく、私と付き合って下さい」


この子は…
何を考えてる?


「奥さんしか愛してないの分かってます。それでも…課長のことが好きです。だから、私を抱いた責任…とって下さい」


「昨日のことは…記憶がないとはいえ、悪かったと思っている。だけど…好きだと言われても困るし、これから君とどうこうなろうなんて思わない」


そんな責任の取り方
出来るわけないんだ


「君も知ってる通り、僕には……妻しかいらない」


そう

俺には美咲しか必要じゃないんだ


「……言いますよ?」



「え?」


その瞬間
エミの顔が黒い笑みに変わった


「昨日のこと…奥さんに言いますよ?」



浮かんだ美咲の顔
俺を信じて
愚痴一つ言わず、笑顔で待っていてくれる美咲の顔が


「…………」


昨日の俺を責め立てる



「壊したくないでしょう?課長の家庭」


「…………」




「卑怯だと言われても構いません。私は課長が欲しいんです」







< 17 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop