千景くんは幼なじみ
「連絡先だけ交換して、それでその日は帰ったの」

「へぇ~。何かいいね!初々しいっ」

肩を寄せる私に、恥ずかしそうな態度を見せる梓。

「その後すぐに夏休みでね、彼が頻繁に連絡くれるようになったんだー」

「そっか。彼が押したんだぁ?」

「まぁね。初めはあんまり気にしてなかったけど、しょっちゅううちの前まで来てくれたり、メールや電話くれて。

明るいし、話も面白いから…いつの間にか好きになってた」

きゃ~。ますます話が聞きたくなっちゃう!

「それでっ?」

「えーと。8月に入って…コクられた」

「すぐオッケー?」

梓は、コクンと頷いた。でも、さっきよりも表情が少し曇り始めていた。

「あのね、でも付き合ったっていうか。ほんと…夏休みの間だけだったんだ」

「1ヶ月ちょっと…かぁ」

「年下だから、もちろん受験勉強はあるし…。夏休み勉強しなくちゃいけないのに、私にばっかり構ってたから…。

模試で、成績めちゃくちゃ悪かったみたい。それで、親に携帯解約されてぇ…」

ぷっ…。

笑っちゃいけないけど、何か年下くんらしくってカワイイ!



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