幻妖涙歌


 これは罰なのか。今まで何人もの村人の命を奪った報いなのか。


「最期に僕の名を呼んだ君の声が、姿が、いつまでも焼きついて離れないんだ」


 いっそのこと、忘れられればどれほど楽だろう。少女のことも、少女への想いも全部、全部全部。


 ――初恋だった。初めて誰かを愛しいと思った。初めて誰かを欲しいと思った。――初めて、満たされた。


 あと何度、少女との別れを繰り返すのだろう。何度少女を失う悲しみを味わうのだろう。


< 16 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop