クルースニク
彼の家は喫茶店から車で30分の所にあった。

私は彼の家を見て言葉が出ない。

目の前に建つ家はホワイトハウスを思わせる様な豪邸だった。

初めてそこで彼が、おぼっちゃまだと知る。

中に入ると壁も床も天井も、鏡の様に光っていた。

彼に案内され、彼の部屋に入る。

そこでも彼と色々な話をして意気投合。

「ねぇ、俺の秘密の場所に連れて行ってあげる」

又しても彼の突然な提案だった。

だが、最初のように迷いは無い。

「いいよ。何処にあるの?」

「こっち来て」

手を引かれ連れて行かれたのは、彼の部屋にあるベッド。

「えっ?」

思わず声が出る。

秘密の場所とはベッドのことか?

「地下だよ、地下」

彼は笑ってベッドの上から垂れるシーツを持ち上げる。

すると背の高い彼でも、四つん這いになれば入れるスペースがあった。

さらにそのスペースの床には、大人1人が通れるような小さな扉。

唖然としている私を余所に、彼は扉を開けて中へ入っていった。

置いて行かれては困るので慌てて後を追いかけた。

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