心も体も今すぐ壊して


「行くとこなかったら来いよ」




先生は見送りに私の後ろから来る。
ボサボサの髪をした頭で。




「なかったらね。絶対に見つけるけどね。私に不可能はないから」


「フッ。そうか」


「あ…先生。これ落ちてたよ」




ソファの下で拾った指輪。
この前やってた人のでしょ?
落ちてたんじゃなくて女がわざと置いてったんじゃないかな。


そんな気がする。




「ああ。ありがとな」


「じゃあね、先生」




私は先生の部屋を後にした。


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