キョウキ
狂気
キモい。

何度聞いただろうか。
真面目に生きてて気持ち悪がられる。

俺が何をした。
俺の何を知ってる。
当然なにも知らない。
見て呉れだけで全てを決めるんだ。
薄々は解ってた。
この世界は外見が全ての世界。
俺の18年は無駄だった。
だけどもう良い。
これで大丈夫。
俺は台所から持ってきた包丁を喉元に触れさせる。
包丁が恐怖で震えて首に小さく跡を残す。
恐い。死ぬのは恐い。
でも今の日常から抜け出したい気持ちの方が勝ってる。

俺は包丁の向きを喉に向けたまま、掴む手を前に突き出し喉へと直行させる。

喉元で固まる。

くそっ、くそっ……

決意した筈なのになんで……

「待って……死んだりしちゃ駄目だよ…?」
12時過ぎの深夜。暗闇の部屋に俺しかいない筈なのに謎の声が部屋に響いた。
「だっ、だれ…!?」
回りを見渡しても真っ暗で何も見えない。
「命を粗末にしちゃ駄目。もっと大事にしようよ」
「う、うるさい!俺は死にたいんだ!」
持っていた包丁が赤く光だして部屋に赤い光を灯す。
目の前に幼い少女が座っていた。
「お言葉、いただきました♪」
少女がニヤリと微笑んだ。
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