たからもの

体育祭と打ち上げ

季節はもう、秋を迎えようとしていた。

秋は体育祭の季節…。

私達は体育祭の練習に精をあげていた。

炎天下の下、今日も体育祭の練習があった。

クラス対抗の模擬リレーを千のクラスとやっていた。

「秋花っ!!次の走者、千だよ!!」

幸が興奮気味に私の肩を叩く。

私の視線は千の方へ向けられた。

千は私に気付くと手を振った。

バトンがまわり、千が走る。

千はもともと運動神経が良いから、足も速かった。

「相変わらず、千は秋花にべた惚れ?」

リレーを見ながら幸が聞く。

「うん…。毎日電話くるし…。」

「あんまり待たせてると、千、いなくなっちゃうよ。」

幸が寂し気に言った。

「千は…いなくならないよ。ずっと…。」

私はそう答えた。

千は束縛の激しいタイプだから付き合っていると、他の男の子と少し話すことにさえ、ヤキモチを焼く。

今の状態だったら、付き合ってはいないから、他の男の子と話をしたって何を言われることもない。

それに、千がすきなのか…あやふやでもあった。

確信は持てていなかった。

ただ千がそばにいてくれる、それが心地よかったんだ。
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