たからもの

新たな決意

季節は秋。

もうすぐ11月を迎えようとしていた。

学校でも塾でも、勉強に力が入る。

だけど私はあまりやる気がなかった。

親友の宝を失った…いや、宝と絶縁状態になった事も原因かもしれないが、私には勉強することより、美麗達と遊ぶ方が楽しかった。

美麗達といると、辛いことも忘れさせてくれた。

周りは勉強しろとか言ったが、私にはどうでもよかった。

千と同じ高校を目標にして頑張っていた時期もあったが、それすら、諦めていた。

千からの絶えない電話。

千と話をする度に、惹かれていった。

恋だとは気付けなかったけれど。

だけど私は、千に告白されても受け入れないことを決めていた。

大切な親友の宝一人守れなかった私だから…。

私が千を守るわけじゃないけれど、大切にしたい人を傷つけたくなかったから。

千が大切だったからこそ、付き合えなかった。

私は弱いから、きっと正面からぶつかることに逃げていたんだね…。
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