高校生の事情

「あなたの顔を見るたびに私は胸がくるしくなるの」
このセリフはまだまだ

「まどか?」
タケルが不思議そうな顔をして私をみるがそんなのお構いなし。

運転主も前にいる涼も私をみてる。雄一笑い上戸の彩ちゃんは寝ていた。

「胸が苦しい理由。あなたにわかるかしら」

私は昼ドラの主人公になったつもりで演じきる。
って言ってもどろどろの恋愛ドラマだけど……

私はタケルの両頬を包み込むように手を添える。
唇は触れるか触れないかぐらいの勢い。

私!まじでなりきってんのよ!!

上目遣いがうまくできないため少々苦労するが。

「苦しい理由?」

「えぇ、私が苦しい理由」
まだまだ焦らすのよ。

「俺が…まどかと付き合ったから?」

ふんっ、それでいいわ。

「いいえ。タケル?私はあなたを見るたびに胸が苦しくなるのよ。あなたと一緒にいられるから私はうれしくてこの気持ちをあなたに伝えたかったのよ。」

片方の手でタケルの頬をそしてもう片方の手でタケルの胸元に手を添える。

タケルの目をみて、上手に上目遣いをする。

まだまだよ。あとすこしで大御所よ!!!

「俺と居れて嬉しいの?」
よし!きたわ!!

「えぇ、当たり前じゃない私はあなたを愛してる。あなたを見るたびにあなたともっと近づきたい。もっとしゃべりたいと……(泣)私はあなたを愛してるわ。」
そういい終えて私はタケルの胸元に頭をうめる。


………。よっしゃーーー!決まったぁぁぁーーーー。

運転主と涼は私をみるなりお見事だと拍手する。

タケルをみると顔が真っ赤で耳までまっか。

「私のキスを奪った仕返し。」
と笑ってタケルを見つめた。

タケルはボーとしていても顔は赤いまま。
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