煌めきの瞬間
「安藤さん‥‥」
「‥‥何?」
「わたし‥‥穴にハマってしまいました‥‥」
「何? 聞こえない」
ぼそぼそと話すわたしの声は、安藤さんに聞こえなかった。
みるみる顔が赤く染まっていくわたしの前で、子猫が楽しそうに蝶を追いかけ始める。
もう‥‥言うしかないんだよね‥‥
言うしかない――!!
「お尻が穴にハマって動けません!!」
湯たんぽのように熱くなったわたしの顔の前に、
去っていく黒猫の親子の後ろ姿と、整った顔立ちの安藤さん――
「えっ!? ええっ――!!??」