煌めきの瞬間



「どうかしたの?」



えっ……?


顔を上げると、安藤さんがわたしの方を見ている。



今、わたしに声をかけてくれてる?


今、視線がぶつかって……る。




「いえ、なんでも……」


こんなふうに安藤さんから声をかけられるなんて初めてで、

動揺したわたしは無愛想な返事しか出来なかった。




なんだろう……

胸の奥が硬くなるような……

糸をピーンと引っ張られたような……


そんな感覚に襲われた。




目と目が合っただけなのに。


声をかけられただけなのに。




今、


こうして後ろを歩いてるだけなのに……。







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