不思議病-フシギビョウ-は死に至る

濁った眼差しだけを残して



朝。

いつもより一回りも二回りも大きなバックを背負って、オレはバスを待っていた。

そう、今日は特別な日。

今日は、集団宿泊の日だ。



「おはようございます」

バスの中、リンはいつもの席でいつものように本を読んでいた。

……。

「リン、どうしたんだ!?荷物は!?」

「金網の上ですが」

見上げると、確かに大きなバッグが金網の上に載っていた。

「……ああ、そうだな」



オレもリンを見習って、金網の上にバッグを載せる。

しかし、いつもと違うバッグは重たく、肩がこる。



どっかと、いつもの席に座り込む。

一息。

落ち着いた。

「今日は集団宿泊だな」

そう言うとリンは、

「何当たり前のこと言ってるんですか」

……今ちょっと当たり方きつくなかったか?

気のせいか。

「楽しみですね」

オレも楽しみだ。

「楽しみで……昨日は眠れなかったりしたのか?」

「私はそんな子供じゃありません」

リンは少し怒ったように言った。

別に恥ずかしがることじゃないさ。

オレは少し眠れなかった。

人間というものはそういう性質がある。


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