不思議病-フシギビョウ-は死に至る


バスのドアが開くと、むっとした空気を感じた。

なんだかむせそうになる。

それでもバスは楽チンだと思う。歩きや自転車と違って。

例えば、二人席に腰かけたそこの女の子は手のひらサイズの本を読んでいるだろ?
後ろの方のサラリーマンは大きく新聞を広げているだろ?

運転が他人任せだから、オレたちは自由だ。
本や新聞を読むことが出来る。

もちろん、他のこともだ。



じゃあオレは自由を満喫するために……寝るか。





この時間は人もまばらだから好きな席を選び放題。





オレが起きてとなりに誰かいたらなんとなく気まずいので、オレは一人席を選ぶ。
それに出口に近い方がいいので、自然と運転席のすぐ後ろになる。

どっかとイスに座り、荷物を下ろす。



「ふぅー」



と、ゆっくり息を吐く。




気分がいい。
何もしなくていい時間が幸せだ。



そう思う。





そしてオレは目を閉じた。


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