たべちゃいたいほど、恋してる。
長い足を椅子に絡ませ優衣との距離を更に詰める龍之介。
最近では聞き慣れた龍之介の柔らかな声色に、優衣はぎゅっと声を閉ざすように唇を結び涙を堪えて龍之介を見上げる。
実際には涙は止まることなく頬を伝っているのだが。
それでも声を上げないだけ優衣も懸命に頑張っているのだろう。
そんな優衣に一瞬苦笑を漏らしてから、龍之介はワックスで固めてあるであろう自身の髪に手をいれガシガシと頭を掻く。
そして言いにくそうにしながらも言葉を探し、僅かに口元を歪めゆっくり話しだした。
「あー…井上のことはよ…あんま気にすることねぇよ。殆ど、噂が一人歩きしてるだけだから」
そう言って語られたのは、龍之介と井上春奈の昔話。