たべちゃいたいほど、恋してる。




それを一般的にフェチということを龍之介は知らない。




「まぁとりあえずさ!うーも感謝してたから。礼言っとこうと思って!…あと、お呼び出し?」




終始爽やかな笑みだった健だが最後の一言だけは困ったような笑みに変わり、屋上から見える校門へ目を向けた。


つられて龍之介も視線を向ければ、そこには見慣れた制服の男たち。




「…またかよ。懲りねぇ奴らだな」




はぁ…と呆れたように溜息を洩らしたあと、龍之介は屋上を出ようと足を進めた。




「ありがとな、タケ」




ひらひらと手を振って階段を下りる。

視界の端に何とも言えない顔で笑っている健の姿が見えた。


向かう先は校門に集まる、この学校のものではない制服を身に纏う男たちのもと。




(学ランもなかなかいいよな、うちブレザーだし)




などと関係ないことを頭の端で考えながらも、龍之介は今から始まるであろう望まない時間をどうにか回避する方法はないものかと頭を悩ませるのだった───…







act 1*end.
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