たべちゃいたいほど、恋してる。




バンッ



勢い良く部屋へ駆け込みその扉を閉める優衣。

かちゃんと鍵を掛ける小さな音が静かな部屋に広がった。


乱れる呼吸を気にしている暇はない。


優衣はきょろきょろと辺りを見渡すと、椅子や棚など出来るだけ大きな家具を手当たり次第扉の前に移動させていく。




(来る前に、早く…!)




近づいてくる足音に優衣の背中に流れる冷たい汗。


まさに火事場の馬鹿力とはこのことだろう。


普段絶対に一人では動かせないであろう家具もこの時ばかりは動かすことが出来て。

自身の身に危険が迫った時の人間の能力は計り知れない。


いくつかの家具で部屋を封鎖すると、優衣は一番手前に置いた小さな棚に背中を預けるようにして座り込んだ。




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