たべちゃいたいほど、恋してる。




その震えが気に入らなかったのだろう。

突如眼光を光らせた父親は問答無用に優衣の髪を荒々しく掴み階段から引きずり降ろす。




「きゃっ…!」




がつんがつん、と体が壁や柱にぶつかるが、父親はお構いなしに優衣を引き摺りリビングに連れてきた。


投げるように床に叩きつけられた優衣の体。


痛みに耐え顔を上げれば、目の前には玄関にあったハイヒールを履いていたであろう化粧の濃い女。


バブル時代から変わらないのでは、と思わせる彼女から香るきつい香水の匂いに優衣は思わず顔を顰めた。




「ちょっとぉ、この子あたしのこと睨んでんだけど」




そんな優衣の表情が気にくわなかったのか、女は優衣の父親にどうにかしてよと猫なで声で強請る。


勿論その言葉に激怒した父親。




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