*写真屋の恋*


この何とも言えない空気に早くも耐えられなくなって、モップをギュッと握り締める。


「あ、あの!センセイは4番会議室なので!!そそそれでは…」


「あら、今日は渡じゃなくてアナタに用があるのよ。」


しかも朗報。

そう言って薫さんはスッと一枚の封筒を指で挟んで綺麗な顔の横に掲げる。


「…朗報?」


「そ。」



…どういう事?

なんで“薫さん”が、“私”に?


「アナタ、聞けば勢力的に色んな所のコンテストに自分の作品を出品してるそうね。」



「…そうですけど。」



…そうなのだ。
私はうちの会社主催以外のアマチュアからセミプロまでを対象にしたコンテストに手当たり次第出品しまくってる。

…大概、いいところまで行ったり、入賞する事もあるけど、別にお声がかかる訳ではない。



でも、なんで薫さんがそんな事知ってるんだろう。



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