colors
えーっと。この渡り廊下を渡って右の階段を下りてっと・・・
私は石ちゃんと別れた後、図書室に向かっていた。
「あ。あった。」
――図書室――
ドアの上にあるプレートにはそう書いてあった。
私はそのプレートをみて確認するとドアを開けて中にはいる。
「失礼しまーす。」
中はしぃん。としていた。
図書委員はまだきていないのだろう。
人の気配はしなかった。
私は辺りを見回すと隣にはカウンターがあった。
ここで本の貸し借りをするのだろう。
前をみるとそこには大きな机があり、
その上には新着本と書かれたプレートがおいてあった。
近づいてみると机の上にはプレートのほかに、
新しく入ったのであろう文庫や小説が5~6冊おいてあった。
「あ。『虹の果てに』がある。これ読んでみたかったんだよね。」
私は独り言を言いながらその文庫を手にとってパラパラとめくる。
「その本借りるの?」
突然後ろから声がした。私は驚いて後ろを振り替える。
そこには文庫を右手にかばんを左手に持った眼鏡をかけた男子がいた。
「・・・ってなんだ香狩さんか。
学校見学中?っていうか電気つけようよ。暗いじゃん。」
カチッ
そういってその男子は図書室の電気をつけた。
「そこにおいてある本、結構面白いよ。
その手に持ってる『虹の果てに』。一番おススメかな。」
男子はそういいながら隣のカウンターの中に入っていく。
「え。あ・・・そう。・・・・・・っていうかなんで私の名前・・・」
「へ?なんでって・・・そりゃおんなじクラスだからに決まってるじゃん。
・・・・え、っつうかもしかして俺のこと知らない?」
こくり
私は素直にうなずく。
すると男子は思いっきりうなだれた。
「あー。そうだよな。うん。
まだ1日しかたってないもんな。知らなくて当然だよなー。」
といいながらも、その顔は凄くショックを受けたようだった。
「えっと・・・その・・・ご。ごめん・・・」
私はなんだか罪悪感が沸いてきてその男子に謝った。
「いや。いーよ。自己紹介とかしなかった俺が悪いんだし。」
男子は片手を顔の前でひらひらさせながら言った。